クスコの町とマチュピチュ

インカの遺跡がいっぱい残ったクスコという、日本でいえば京都のような町がペルー南部にある。インカ建築と、その上に建てられた中世ヨーロッパ・コロニアル建築が奇妙なコントラストの味わいのある町だ。ここはまたインカ最大の遺跡「巨大都市マチュピチュ」へのゲートタウンになっている。僕とK君もここへやってきて、かねてから聞いていた日本人経営のペンションに滞在した。ここはいろんな“つわもの旅行者”との情報交換の場となった。クスコは旅行者の集まる町だけに危険と言われるペルーのなかでも特に気をつけなければならないところだ。僕たちも案の定聞いていた通りのパターンでやられてしまったが(それについてはここでは書かない)、それも含めてこの町の印象は深い。
空中都市マチュピチュ
マチュピチュへは一人でローカル電車に乗って行った。途中、他の車両で旅行者から何かを盗んで列車から飛び降りた奴がいて大騒ぎになっていた。緊張した旅行となった。山のふもとの村で一泊して翌朝早くからマチュピチュに向かった。バスが山の中腹まで登り、そこから歩いていくと山々の斜面を切り立ったところに石で建てられた遺跡群が見えてきた。日が高くなり、山の影が晴れてゆき、何平方キロにも渡る都市が照らし出される。とんがった緑の山々をバックにした白い石の都市の光景はすばらしかった。雲とその影が遺跡と山の斜面をなでて走っていく。中南米旅行でかなりいろいろな遺跡を見てきたが、これは他のどれよりも大規模でスペクタキュラーだった。観光地とはいえこれだけ広いと一人になれる。僕は一日中歩き回り、写真をとり、スケッチをした。当時使われていた日時計など、面白いものがそのまま残っていたし、迷路のようになった住居跡をさまよったりして、この主人のいなくなった巨大空中都市のフィーリングを堪能した。

クスコの有名な石垣とインディオ
クスコでは当時大統領になって1年目のアルベルト・フジモリ氏の政策への抗議のデモなどをやっているのを見たが、ペルーが本当にひどい状態になったのは僕が出国した後で、リマでの複数の日本人殺害のニュースはその後チリ・パタゴニア滞在中に聞いた。




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