長旅の果てに着いたところは


ロサンゼルス ダウンタウンを歩く

 世界を一年かけて一周してみようという人はたいてい「鑑真号」に乗って中国に行き、そこからヨーロッパを目指す。または東南アジアに飛んでそこからインドに入る。インドとアメリカに興味があった僕だったが、初夏の東南アジア経由は暑そうだったので、反対にアメリカ西海岸から始めることにした。中学校の英語の先生が、昔バイクでアメリカを横断した時のスライドを見せてくれたことにも感化されていて、僕も大陸を横断してみたかった。
 取りあえずロスに飛んでくると、第一日目はやはり「地球の歩き方」に乗っている、リトル・トーキョーのダイマル・ホテルを目指した。バスに乗ってダウンタウンを見ていると大学生の時に行ったヨーロッパに比べると何も日本の大都会と変わりがなく、あげくの果て着いたリトル・トーキョーは日本もどきで、がっかりした。意を決して九時間も飛行機に乗ってやってきた地はこんなものか。ダイマル・ホテルは、日本語を片言で話す中国人のおばちゃんの経営で、日本人の自由旅行者のたまり場だった(これも「地球の歩き方」に載ってるからだろう)。
 時差ぼけでうとうとしながらも、バスに乗って市内を廻って、ふらふらになりながらホテルに戻ってきた。しばらく部屋で眠っていたが、夜に目が覚めて部屋から出てみると、いろんな日本人の連中が居間でたむろっていた。その中の一人、ユウスケという髪の長いやつが、レンタカーでニューヨークに行く相棒を探しているということだった。彼は一年ハワイに入り込んでバイトをしていたらしいが、今回世界旅行を始めだしたらしい。このホテルに来て数日間、相棒を募っていたが、他の旅行者は皆、グレイハウンドやアムトラックのパスで旅行しているので、話に乗ってこない。これらのパスを何も持たないでアメリカ横断を考えているのは僕だけだった。彼は、今夜誰も乗ってこなかったら諦めよう、としていたところに僕がひょっこり表れたのだ。
 僕は出発日で五月八日か九日の選択があった時、八日に決めて今日ここに着いた。もし九日にしていたら、彼には会わなかっただろう。僕達は翌日レンタカーを一ヶ月借りに行った。与えられたのは白いトヨタのカローラだった。もう一人時間の関係で途中まで同行したいというやつを入れて三人になった。かくして僕達のアメリカ横断の旅は始まったのである。




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